聞くチャンネル インタビュー

「公私ともに充実、向上心と行動力でさらに前へ」

福浜大一建設株式会社 岩佐正恵さん

【プロフィール】いわき市勿来町出身。建築か教職か迷いに迷って県立磐城女子高校(現・磐城桜ケ丘高校)から足利工業大学(現・足利大学)工学部建築学科へ。教職員免許を取得するも福浜工業(現・福浜大一建設)入社。建築士と建築施工管理技士の資格を活かして、最初の5年間は主に現場管理。現在は得意の計算力を生かし、建築計画のコストマネジメント「積算業務」を担当する。夫は長期にわたる単身赴任中だが、小学生の子どもの吹奏楽部の保護者会長も務めるスーパーウーマン。ふくしま建女会に入って刺激を受け、1級建築施工管理技士と2級建設業経理士の資格取得に挑戦したいと向上心の塊り。趣味は愛車「シエナ(逆輸入車)」を駆っての家族旅行。

「〝積算業務は空間の算数〟適正な計算で顧客も会社も幸せに」

 

-建設業に興味を持ったきっかけは

両親が建設業に係る仕事をしていたわけではなく、自分が設計した家に住みたいと思ったからです。実家は私が生まれた年に建てられましたが、家の近くに別の土地を購入していて、私が中学生の時、突然、両親から「この土地は正恵にあげる」と言われ、建設業という仕事を意識するきっかけになりました。その時、自分が手掛けた家に住んでみたいと強く思いました。その頃、中学校の数学教師という仕事にも憧れていたので、普通高校から漠然とした考えで工業大学へ進学しました。ところが勉強をしていく中で、自分は設計に向いていないことが分かったため(笑)、施工コースを選択しました。並行して教職課程も履修し、高等学校教諭免許(工業)を取得しました。隣県の教員採用試験も合格はしていて、県内か県外か、建築か教師か悩みましたが、福浜工業へ入社しました。

-仕事の内容を教えてください。また、どんな時に充実感を感じますか

今の肩書は営業部主任ですが、仕事は建築積算業務を担当しています。積算というと地味な仕事と思われるかもしれませんが、何万円から何億円単位で金額が動く建設業で、積算業務は会社の仕事の中でとても重要なポジションです。設計図書や仕様書を基に、材料費や人件費など建築工事にかかる総合的な費用を事前に算出する、その数字によって受注できるか決まります。もともと数学が好きだったので数字、計算は苦になりません。設計図面から数量を拾う時はとても楽しいですよ。格好よく言えば積算は「空間の算数」です。ただ、最近は図面に書かれていない、表れていない部分も増えていて、数量を拾うのが少し大変な場合もありますが、建物をイメージしながらの数量拾いも、これはこれで面白いですね。現場に出ることは少ないですが、建設業で働く皆さんが言われるように、携わった建物が後世に残ることは大きな魅力です。見積もり期間が短く、図面の量が膨大で、しかも提出時期が迫っている時にはプレッシャーを感じますが、上司をはじめ社員のみんなが助けてくれるので、つらいと感じることはありません。費用を抑えて利益を出せる適切な積算見積もりで工事を受注し、その建物が無事に完成して、会社にもお客様にも喜んでもらえる。そこがやりがいですかね。一日のスケジュールは、2人の子どもを小学校と駅まで送ってから、午前8時前に出社し、今は新型コロナウイルス対策で身の回りの消毒と掃除。朝の打ち合わせを行って、図面の数量拾いや見積書作成などの通常業務を行います。

「保護者会会長と仕事を両立、家族を大切に」

 

-休日の過ごし方を教えてください

1週間の間にできなかった買い物や掃除、子どもの部活の送迎です。長女(高2)、長男(中2)、次女(小6)の子育て真っ最中で、夫は週末には帰ってきますが単身赴任。子どもたち3人とも吹奏楽部に所属していて、長男が小学6年生だった平成30年度と次女が6年生の今年度、小学校の吹奏楽部保護者会会長をやっています。昨年はコロナの影響で演奏会が開けませんでした。次女は今年卒業なので、最後の演奏会を開催できるよう顧問の先生や保護者の皆さんと打ち合わせを行っているところです。

-趣味、最近ハマっていることはありますか

子どもたちも大きくなり、手が掛からなくなったので、最近やっと自分の時間を持てるようになりました。韓流ドラマやサスペンスドラマをじっくり観ています。ラグビーが好きなのと自分へのご褒美に「スクールウォーズ」のDVDを全巻買いました。私、大学生の時にラグビー部のマネージャーをしていたんです。サークルみたいな弱小チームでしたが、遠征や合宿とか楽しかったですね。2升も炊いた白米があっという間に無くなるんです。選手の食欲にはびっくりしました。長男は吹奏楽部でしたが、3年前のラグビーW杯で私が夢中になって応援している姿を見て、ラグビーに興味を持ってくれたようで、高校に入ったらラグビー部に入ると言ってくれました。本気だったみたいで、昨年9月には小学生から続けてきた吹奏楽をやめて、陸上部に入り、体力づくりをしています。試合の応援に行くのが今から楽しみです。ラグビーは好きですが他のスポーツには全く興味がありません(笑)。それと車での1泊貧乏旅行ですかね。昔から出掛けることは好きで、車も車の運転も好きです。特に、スピードが出て誰も乗っていないマニュアル車が好きで、若いころはフェアレディZ2by2に乗っていました。今はフィットRSで通勤しています。昨年、北海道行きを予定していたのですが、7月に父親が亡くなり、新型コロナの感染も拡大していましたので断念しました。感染が収まっていれば、今年こそは行きたいですね。

「建女会参加で刺激、上級資格の取得目指す」

 

-会社で女性活躍を推進している取り組みがあれば教えてください

女性社員は技術系が2人、事務系が6人。会社は10年以上も前から、県の「子育て応援」「仕事と生活の調和」の認証を取得して、女性に限らず社員全員が働きやすい職場づくりを進めてくれています。社長も3年前に「イクボス宣言」をしています。産休や介護だけでなく、学校からの呼び出しや行事参加などでも積極的に休みを取れるようになりました。昨年、緊急事態宣言が出されたときも、小学校に行けない子供たちのために休暇取得も配慮してもらえました。私が一番年上ですが、若い社員が楽しそうに仕事に取り組んでいる姿を見るとホッとします。実は私、長女が生まれたときに悩み事も重なって、一度会社を退社しています。でも長男が生まれてすぐ、以前の上司から「会社のために力を貸してほしい」と誘いをいただいて、少し悩みましたが建築関係の仕事は好きだし、社内の雰囲気は悪くなかったし、みんなともう一度仕事をしたいと思って復帰しました。

-ふくしま建女会を楽しくするには、どんな活動が必要と思われますか

親睦を深める活動が必要だと思います。福島県は広いし、会員それぞれが公私で忙しいとは思うのですが、1年に3~4回しか会えない機会を何とか上手に使えないかと思います。コロナ対策でZoomが活用されています。実際に会えなくとも、Zoomを使ってオンラインで、何かテーマを決めて話し合う、情報を交換することは可能ではないでしょうか。コロナが収まれば、風力など再生可能エネルギー関連の現場見学を兼ねた親睦旅行もいいかもしれません。建女会には、自分から積極的に入会したわけではありませんでした。社長から「ちょっと行ってきて」と言われて、何も知らずにいつの間にか発起人の一人になっていたのが真相です(笑)。しかし仕事柄、社内にいることが多かったので、研修会や現場パトロールなど今までにない経験ができ、入会させていただいて本当に良かったと思っています。

-今後の目標を教えてください。公私ともに

2級建築士と2級建築施工管理技士の資格はあるのですが、建女会に参加し刺激を受けまして、今年は無理かもしれませんが、近い将来、1級建築施工管理技士と2級建設業経理士の資格を取りたいと思っています。子どもたちも間もなく受験ですし、子どもたちに頑張っている自分の姿を見せたい。私生活の面では健康でいること。そのためによく寝るようにしています。実は3年前に突発性難聴に罹りました。子どもたちが吹奏楽部なのに、演奏会に行っても聴けなくなると非常に焦りました。病院で医師に疲れ、寝不足、ストレスの3つが揃うと罹ると言われて。知り合いで1カ月間入院したお母さんもいるので、2度と罹らないように十分に睡眠を取るようにしています。

-好きな言葉は

「人の振り見て我が振り直せ」です。他人の言動の良し悪しを見て、自分の行いを反省して良いところは見習い、悪いところは改める。建設業は職人さん、上司、お客さんなど人とのつながりがとても大切な仕事だと感じています。たくさんの人と出会って自分の視野を広げて、たくさんの人たちに幸せを与えられる仕事をしていきたいと思っています。

取材日 令和3年1月28日

福島県建設業協会のinstagram

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