聞くチャンネル インタビュー

魅力発信し、若者が入職する建設業界へ

株式会社佐久間組 佐久間智佳さん

1988年9月生まれ。郡山市逢瀬町出身。日本大学工学部土木工学科卒業後、佐久間組に入社。入社後、大学在学中に知り合った佐久間宜央氏(現・佐久間組専務取締役)と結婚。現在は、総務課総務室長を務めるとともに工事課にも籍を置き建設現場でも活躍する。中学ではソフトボール部に所属し、全国大会出場。尚志高校進学後もソフトボールを続け、東日本大会で入賞した。今はソフトテニスに取り組んでおり、指導者として我が子の指導にもあたる。夫と娘、ちょうど1歳になる犬、チンチラ2匹と共に暮らす。

★土木の仕事「誇れるからこそ、頑張れる」

― どのような資格を所持していますか
 わが社にはドローンを活用するUAV事業部があり、今年2月に2等無人航空機操縦士の資格を取得しました。主に、ボランティア活動などの体験会で、一般の方などにレクチャーをするのに役立っています。また、1級土木施工管理技士の資格を所持しているので、現場監督を務めることもあります。

― 建設業に興味を持ったきっかけを教えてください
 母が測量会社に勤めていて、幼少期から製図の仕事をしているのを近くで見てきたこともあり、土木関連の仕事を身近に感じていたと思います。特に、子どものころに見た、母が仕事で携わっていた福島空港の図面が印象に残っています。
大学の土木工学科への進学は、高校の恩師の後押しがありました。道路建設の大手会社から大学に戻り教員免許を取得し、教員になった方で、その恩師がお世話になった先生がいるというのが、進路を決めたきっかけの一つになりました。当時はまだ、土木工学科に通う女性が非常に少なかったです。
建築は、その建物に関わる人が主ですが、土木はさまざまな人が使うものだと思っています。感謝される仕事ですし、世の中の役に立っています。今後、無くなる仕事でもないでしょう。「地図に載る仕事」と呼ばれることもありますが、自分の仕事を誇れるからこそ、頑張れる仕事なのではないかと思います。

― 建設業に就職したときの状況を教えてください
 大学在学中に宜央さんと知り合い、交際をしていたこともあって、佐久間組への就職を決めました。2011年4月から勤務を開始するため、3月中は事前研修を行う予定でした。ちょうど東日本大震災の数日前から研修を開始しており、地震発生時も現場にいました。
現場や会社には大きな被害がなかったものの、土砂災害により13人が死亡した葉ノ木平や自宅は大変な状況でした。人命救助に会社総出で取り組み、1カ月以上は生活に支障の出る状況が続いたと記憶しています。

★ものづくりの楽しさ、SNSで伝える

― 一日のスケジュールは
 基本的に午前8時から午後5時まで勤務しています。朝は掃除から始まり、社長のスケジュール管理、契約書の作成、工事原価の管理などが主に内勤です。
現場で監督を務めることもあります。現場管理や検査立ち合いを行うほか、報告用のドローン空撮も行っています。
会社のホームページやインスタグラムなどSNSの発信も業務の一つです。高校生はインスタグラムを見ることが多く、求人活動の一環と考えています。一つの工事について、着工から完成までの一連の流れをまとめたものを発信し、ものづくりの楽しさを伝えていけたらと考えています。

― 仕事をして、やりがいを感じることはありますか
 自分が担当した工事を、協力会社の皆さんを含め協力して進め、出来上がった道路等が何十年も地図に載り、周囲に評価され、人に感謝されることに達成感があります。そういう意味では、利用者がある程度限定される建築よりも、土木の方が安心・安全な暮らしに関わることができるかもしれません。
建設業は毎日、同じ仕事をすることはほぼありません。工場などの製造業は、同じことを繰り返す作業が多くなりますが、建設業は、天候にも左右されますし、現場ごとの違いもあります。職場でも「違いがあるから楽しい」という声を聞きますし、違いを楽しむことができるのも建設業の良さだと思っています。

★ICT駆使し、未来の土木づくり実現が目標

― 女性活躍の推進に向けた取り組みはございますか
 災害時にも利用できるトイレカーを導入することになりました。仮設トイレよりも便利で、女性も使いやすくなると思います。
わが社では、イクボス宣言を行っていて、県の次世代育成支援企業認証制度の「仕事と生活の調和」推進企業認証部門の認証も取得しています。女性に限らず社員全員が働きやすい職場づくりに取り組んでおり、3年前から月給制も導入しています。
有給休暇の消化率は非常に高く、時間単位での有給休暇取得など、子育て世代が取得しやすいよう対応を行ってきました。例えば、お子さんの参観日に午前中だけ休みを取るなど、有効に活用しています。現場で勤務する社員は、入札や工事の少ない5、6月に有給休暇を消化することが多いです。また、産休や育休制度もあり、男性社員も育休の対象となっています。
このほか、会社敷地内に社員用のトレーニングジムを設置しています。倉庫を改造して整備したもので、男女別のトイレやシャワー室も完備してあり、社員が無料で利用できます。

― 今後の目標を教えてください
 会社としての目標は、ICTの普及です。若い人の入職にもつながると考えています。古い土木のイメージがどうしても残っていますが、それが変わり、未来の土木づくりを実現させていきたいと思います。
個人的にも、担い手の確保が目標です。若者が入職してきてほしいと強く思っています。県内のバスケットボールチームが主催する3×3の大会などのイベントに出店して、ドローンで撮影した映像をモニターで流して、子どもたちの関心を高める活動もしました。こうした活動を通して、子どもたちが大きくなった時に建設業に来てくれればと思っています。

★仕事も生活も「謙虚な気持ち」で

― 休日はどのように過ごしていますか
 ペットと一緒に行けるカフェを巡っています。県内や那須など、あちこちに出掛けています。白河市内だと南湖公園や城山公園など、犬の散歩ができる公園が多いですね。
また、娘とソフトテニスをしています。娘の活動の送迎だけでなく、一緒にプレーもします。現在は、指導者としてコーチングの勉強も進めています。

― 好きな言葉を教えてください
 「謙虚な気持ち」です。
高校在学中に所属していたソフトボール部で1年生時に顧問を務めていた先生がよく使っていた言葉です。元々は実業団の監督だった方で、指導してもらった時間も長くはなかったのですが、その先生の下でやっていたソフトボールがいまだに忘れられません。それもあって、特に大切にしている言葉です。
私がテニスの指導をするときにも使っています。謙虚という言葉には、感謝だったり尊重だったり、すべて含まれると思います。仕事でも生活でも、何事にも当てはまる言葉だと思っています。高校生の頃はあまり重要さを感じていませんでしたが、大人になって改めて実感しています。

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