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どんなに難しい設計業務も諦めない! 仕事もプライベートも前向きに

庄司建設工業株式会社 黒川佳純さん

【プロフィール】1992年生まれ。南相馬市鹿島区出身。高校を卒業後、仙台の専門学校(デザイン科)に進学し色彩やパース(完成予想図)を学ぶ。地元のために働きたいと2013年 庄司建設工業㈱(南相馬市)に入社し、今年で5年目を迎える。建築設計部に所属。現在は、結婚してご主人と子供と3人暮らし。小さいころから図工や“ものづくり”が好きで、ブロックを積み上げて遊んだり、石や木で何かを作ったりと自然と触れ合って遊ぶことが好きだった。趣味は、部屋の掃除や模様替えをすること。好きな言葉は「前向き」。

建設業界への第一歩

―建設業に興味を持ったきっかけはなんですか

きっかけは、小学校の中学年のころです。3人姉妹なので、私の家には自分の部屋がなく、自分の部屋がほしいと思い始めたからです。友達の家に遊びに行くと自分の部屋があり、自分の机や本棚、タンスが一部屋に集まっていることが羨ましいと思い、私が「自分の部屋をつくるならこうする」というイメージすることから始まりました。高学年になってから「こういう仕事もあるんだよ」と教えてもらったのがきっかけで、インテリアコーディネーターから始まって建築士という仕事があることを知りました。6年生の時のアルバムには、将来の夢として「設計士」と書き、その時から設計をする仕事に就きたいと思いました。新聞の広告やテレビを参考に、実際の間取りを一から考えて、描くようになったんです。これが建築士を目指す始まりですね。空間構成が好きだったみたいです。

 

建築設計部での業務内容は奥が深く毎日が勉強

―設計部での仕事はどうですか

そうですね。部内では設計監理やRCや鉄骨の建物、在来工法の住宅、また、ミサワホームの地域ディーラーもしていますので、その設計をしています。その中で私は、在来工法とミサワホームの仕事をやっています。それに最近は改修やリフォームもやっています。改修はすごく難しく、基礎と柱と屋根を残してやる場合は、手作業での解体となり、全部解体するよりも時間と人手が必要になります。確認申請など図面のデータが残っていないと現地に行って、畳をはがして、床板をとって床下を調査し、基礎の形状を確認するところから始まります。新築の家を造るより難しいと感じています。

最初はインテリアコーディネーターの資格に憧れていたのですが、その資格だけでは難しいので、建築士の資格を取得しようと考えて、今の仕事に進みました。学校ではCADと色彩の検定資格を取りました。卒業後に福祉住環境コーディネーター2級を取得したり、2級建築士を受験する資格がもらえたので、卒業した年に受けたのですが取得できませんでした。3回目の受験で1次試験は合格したのですが、2次試験と出産が被ってしまい受験を諦めました。そして、4回目にして無事に合格しました。
同じ設計部の人たちはみんな1級建築士の資格を持っているので私も早く続きたいと思っています。

在来工法…昔から日本に伝わる建築工法

―日々の仕事で気を付けていることはありますか

私は入社してすぐに建築設計部に配属されたので、まだ現場のことが分からないことがあります。例えば、設計図面で指定した入口につけるドアが現場で納まらない、最悪の場合交換になってしまい、現場の人やお客様に迷惑をかけてしまうので、そうなる前に現場の人に「このドアの納まりはこれで合っていますか」などと確認したり、カタログを見ながら勉強しています。また、同じ部署にいる人たちは皆さん現場を経験して知識も豊富なので、解らない事は聞いて、お客様の迷惑にならないように気をつけています。

―仕事のモチベーションはどういう時にあがりますか

お客様から「こうしておけば良かった」と言われることがあるんですよ。落ち込んだり、申し訳ない気持ちになります。でも、それを聞くと次につながるじゃないですか。モチベーションが上がりますね。「今度はこうしてやるぞ」って次のステップが見えてきます。

―1日のスケジュールを教えてください

朝起きてお弁当を作り、子供を起こし、朝食を食べさせ保育園に送り届けて出社します。仕事の流れは、部で朝礼を行い一人ひとりが一日のスケジュールを報告し、そこで自分のスケジュールや協力してほしい仕事があれば、みんなで調整・段取りをします。
私は申請書類の作成やCADで図面を描いたりしています。時間内で終われるよう段取りし、仕事が終わったら子供を迎えに行き、食事をさせてお風呂に入れ寝かせます。その後、自分たちの夕食を作り始めるので、だいたい20時頃になってしまいます。

CAD…コンピューターを使って製図すること

―自分で自由に設計していいよ、と言われたらどんな設計をしますか

今はいっぱい、いっぱいで、何も思い付きません。最初の頃は自分の家を建てたいと思っていたのですが、実はすでに建ててしまっていて自分で設計することはありませんでした。建てる時に「ここはこうしたい」など、意見を言ったつもりなのですが、失敗したところがあったり、ここはもっと広くすれば良かったと思う個所があります。階段の位置はとても迷って、リビングにするか廊下にするかなどを悩んで、結局リビング経由にしたんですよ。子供が大きくなった時にリビングを経由しないと、触れ合う機会がなくなっちゃうのかなと考えて。自分の失敗点を活かして、お客様には満足してもらえるよう心掛けています。

―休日はどのように過ごしていますか

今は子供中心です。休みの日はゆっくり寝ていたいと思うんですが、休みの日に限って子供が早起きで、結局早起きしています。歩けるようになってからは公園に行ったり、子供向けの施設に行ったりしています。わりとアウトドア派です。買い物も好きなので外出していることが多いです。仙台の方に行くと新しい住宅街があるので、そういうところを見て回るのも好きです。

建設業で働く人は怖くない。皆誇りを持って働いている建設人

―建設業にはどういった人が向いていると思いますか

建設業は怖い人のイメージがあると思いますが、実際入ってみると、見た目は怖いけど優しい人が多いので、そこは心配することはないと思います。考えるものを形にすることが好きな人なら建設業に合うでしょうし、続けやすいのではないでしょうか。

―建設業はコミュニケーションも大切と聞くのですが、困ったことなどはありますか

私は今25歳なので、年上の方とお仕事をすることがほとんどです。コミュニケーションということで考えると、遠慮しちゃって、最初はなんとなく話し掛けにくいんです。若い人は気軽に声を掛けてくれますが、口下手な人も多いですし、視線は感じるんですけど、なかなか声を掛けてもらえません。(笑)
現場のこととか質問するんですけど、業界用語で答えられると理解できなかったら悪いと思うこともあります。世間話をしてみようと思っても年代が違う分話題にも困ってしまいます。

建設業に男女は関係ない。やる気があれば誰でも出来る魅力ある業界

―建設業は男性のイメージが強いですが、仕事をする上で男性と女性の働き方など違いを感じることはありますか

最近思ったのはタイヤ交換をするのに、男性は教わっていないのにジャッキを使ってスムーズに作業をしますよね。だけど、女性の場合、力は別にしても、そういう能力があまりない。説明書を読むことから始めると思うんです。そういうことがあるから、建設業界は男の人が多いのかなと思います。
でも、女性だからできないわけでもないんですよね。私も時間はかかりますけど、説明書を読めばできるようになる。家を建てる時には、女性のほうが家事動線とか家具の配置を考慮して間取りを考えることができるような気もします。私も家事をしているからお客様にアドバイスができたこともありました。最近は話しているとお客さんが安心してくれる感じはあります。

家事動線…家事をする時に人が動く経路

―黒川さんの思う、建設業と勤務されている庄司建設工業さんの魅力を教えてください

庄司建設工業は土木がすごく優秀で幅広くやっていますし、大きい病院とか復興住宅もやっています。そして住宅と幅広い分野にわたるんです。私は住宅担当ということで来たのですが、入社してみて土木の仕事はすごいと思いました。興味が湧いてくるんです。土木の仕事もやってみたいと思ったら勉強する機会がすぐある。勉強できることは魅力ですね。
建設業界の人は怖いイメージがありますが、会社の人は全然違い、仕事以外でも気さくに話し掛けてくれる人ばかりなので、そういう交流がある会社だからこそ良い“ものづくり”ができるんじゃないかと思います。

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