聞くチャンネル インタビュー

地域のため、地域の方々のために我々建設業はある。少しでも多くの方々に建設業の魅力を知って、感じてほしい。いざ!挑戦!!

株式会社関組 関誠一社長

【プロフィール】1972年8月生まれ。郡山市湖南町の福良小学校(現湖南小学校)、湖南中学校から日本大学東北高校土木科に進学。その後、東京都内の専門学校で土木工学を学び、1994年に福島市内の建設会社に就職した。2社で5年半ほど現場修業を積み、27歳の時に父親が経営する㈱関組に入社。現場を担当後、30歳で専務取締役、2016年10月、44歳で3代目の代表取締役に就いた。家庭では2女1男のお父さん。
小学生のころは、渓流釣りや野球、キャンプ、冬はスキーと真っ暗になるまで外遊びをし、大自然を満喫していたと笑う。趣味は今でもスキー、キャンプ、海遊びなどアウトドア全般。中断していたゴルフも復活する考え。
県建設業協会では2017年6月、青年部の第14代会長に就任。同年代はもとより、多くの先輩後輩から好かれる〝愛されキャラ〟でもある。好きな言葉は「挑戦」。

中学2年生で家業を継ぐ決意

― 会社を継ぐ意思を固めたのはいつごろですか

小学生の頃は消防士に憧れていましたが、中学2年生の時に高校進学について両親と相談した結果、土木学科がある高校への進学を勧められ選択しました。その時に会社を継ぐ覚悟を固めました。
建設業に関しては、就職前は漠然と体力勝負なのかなと思っていたのですが、いざ施工管理を担当すると、体より頭を使う職業だということを実感しました。屋外での仕事はきつい半面、就職した当時は設計労務単価が今より高く、他産業と比べても給料は高い方でした。給料が高いことに惹かれて、建設業入りした同級生も多く、今でも活躍しています。

施工管理…建設工事現場の管理・監督をすること
設計労務単価…工事に従事する者の1日当たりの労働単価の基準

苦労した現場ほど記憶に

― 最も大変だった担当現場を教えてください

県発注の治山ダムですね。岩盤を切り開いて入っていく現場でした。全長80m程度の規模で、1日当たり数百立米(100立米=約235トン)の生コン打設計画を立てるのが大変でした。仕上がりがうまくいったときはうれしかったですね。

治山ダム…土砂の流出を防ぎ、森林の保全造成を目的としたダム
生コン…生コンクリートの略称。固まる前のコンクリート
打設…型枠の中にコンクリートを流し込むこと

― 他にはどんな現場が印象に残っていますか

林道の開設工事も大変でした。現場を担当した当時は、測量が合わずに山の中を何往復もしたことがありました。林道は山の斜面に道路をつくりますので、斜面を階段状に掘削する必要があります。その際に湧水が発生するなど、苦労しました。

― 我々がよく利用する市街地の現場もありますか

市街地は、下水道の新設工事や、道路を新しく作る改良工事などがあります。冬場の夜間工事も経験しましたが寒くてけっこう厳しいですね。
その反面、厳しい現場で仕上がりがうまくいったときは喜びもひとしおです。工事成績評定も良ければ「みんなで飲みに行くか」となりますよね(笑)。印象強いのは、そういう大変だった現場ですね。

工事成績評定…公共工事の発注者が施工状況、出来ばえなどを採点した工事ごとの成績表

― 社長としての1日のスケジュールは

午前6時に起床し、7時には出社します。その日のスケジュールや入札状況等を確認した後、打ち合わせや現場の安全パトロール、会合出席などが主な仕事となります。

― 休日の過ごし方は

もっぱら子どもの送り迎えです。小学生の息子が体力向上を目的に水泳を習い始めたのですが、タイムが伸び始めてからは選手コースに切り替えたので、平日は妻が、週末は私が練習や大会への送迎係を担当しています。

― 息子さんは4代目となる意思がありそうですか

本人の意思を尊重したいと考えていますが、幼い時から建設機械に触れさせるなど、建設業に興味を持つよう工夫はしています(笑)。

ものづくりの楽しさ、喜び

― 建設業の魅力を教えてください

なんと言ってもモノをつくる楽しさ、でき上がった時の喜びです。「地図に残る仕事」という大手ゼネコンのCMキャッチコピーがありましたが、例えば道路であれば、開通後は通るたびに自分たちでつくり上げたという優越感が味わえます。3年未満で退社する社員がおりますが、その感動を味わう前に辞めてしまうのは、非常にもったいないと思います。

― 建設業界にはどのような人材が合っていると思いますか

全ての職業に言えることですが、「あきらめない気持ち」や「我慢強さ」が必要だと思います。人間関係に対する適応力も必要です。現場のベテランの中には言葉がきつい人もいますので、協調性と少しぐらいの反発心があってもいいのかなと思います。私が新卒採用時に特に重視しているのは、欠席日数です。成績が同程度なら、欠席の少ない生徒を採用します。厳しい部活動をやり遂げた生徒も評価は高いですね。

若手の確保に労を惜しまず

― 関組さんでは近年、普通科の生徒を積極的に採用されていますね

地元の高校がたまたま普通科なのですが、建設業に興味をもってもらい入職に繋がるよう1~2年生対象の企業説明会に参加しています。普通科でも入社してから仕事を覚えていきますので問題ありません。ここ3年間で4人が入社してくれました。少子化が進行し、土木学科を有する高校も減少している中ですので、学科を問わず、若い人材を継続的に確保・育成したいと考えています。

― 新入社員教育はどのように行っていますか

県建設業協会主催の新入社員研修に参加させているほか、年齢の近い先輩社員と組み合わせるなど、コミュニケーションの構築には配慮しています。また、玉掛けなどの技能講習や資格取得にも挑戦させていますが、資格を複数取得しながらも、新規採用の4人中2人は2~3年で辞めてしまいました。2級土木施工管理技術検定の受験資格の一つである実務経験年数が、高校普通科の卒業生は4年6か月になっており、それを目前にしての退社は残念でなりません。今後は入社2~3年目の社員に対するケアも重視していきたいと思います。

玉掛け…クレーンを用いた荷物の搬出入の際に荷掛け、荷外しする作業のこと
2級土木施工管理技術検定…現場の工程管理、安全管理を行うために必要な資格

地域の安全・安心を一緒に

― これから建設業を目指す学生等に一言お願いします

建設業はどの業界よりも、ものづくりの楽しさを一番味わえ、達成感を存分に感じられる業界です。国土をつくり、国民や地域の安全・安心を守り、住みよいまちづくりを進める上で、建設業はなくてはならないやりがいのある職業です。災害時にいち早く被災現場に駆け付け、住民の生命・財産を守るための復旧活動、被害の拡大や二次災害の防止に努めているのも建設業です。当社では除雪も担っていますが、オペレーターのちょっとした配慮で、沿線の住民の方から感謝の電話が入ることもあります。地域に必要不可欠な建設業に多くの若者が入職し、地域がより元気になることを期待します。

オペレーター…重機を操縦する人

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